地域生活支援拠点等について平成30年3月に厚生労働省から新たな資料が
示されましたので、ご紹介いたします。
★地域生活支援拠点等の整備とは
障害児者の重度化・高齢化や「親亡き後」を見据え、居住支援のための機能(相談、
緊急時の受け入れ・対応、体験の機会・場、専門的人材の確保・養成、地域の体制
づくり)を、地域の実情に応じた創意工夫により整備し、障害児者の生活を地域全体で
支えるサービス提供体制を構築することです。
Q.拠点等の整備の目的は何ですか?
拠点等は、障害者等の重度化・高齢化や「親亡き後」に備えるとともに、地域移行を
進めるため、重度障害にも対応できる専門性を有し、地域生活において、障害者等や
その家族の緊急事態に対応を図るもので具体的に2つの目的を持ちます。
①緊急時の迅速・確実な相談支援の実施・短期入所等の活用
⇒地域における生活の安心感を担保する機能を備える。
②体験の機会の提供を通じて、施設や親元からGH、一人暮らし等への生活の場の
移行をしやすくする支援を提供する体制を整備
⇒障害者等の地域での生活を支援する。
Q.拠点等の整備手法はどのような類型がありますか?
・拠点等の機能強化を図るため、5つの機能を集約し、GHや障害者支援等に付加した
「多機能拠点整備型」、また、地域における複数の機関が分担して機能を担う体制の
「面的整備型」をイメージとして示していますが、これらにとらわれず、地域の
実情に応じた整備を行うことができ、必要な機能の判断は最終的に市町村が行うこと
とされています。(例:「多機能拠点整備型」+「面的整備型」)
・なお、その際、各地域のニーズ、既存のサービスの整備状況など、各地域の個別の
状況に応じ、協議会等を活用して検討することが重要です。
Q.拠点等の必要な機能は何ですか?また、整備がなされたか否かは
どう判断すればいいですか?
・拠点等の整備に当たっては、支援困難な障害児者の受け入れを前提として、既に地域
にある機能を含め、原則、次の5つの機能全てを備えることとしますが、地域の実情
を踏まえ、必要な機能の判断は最終的に市町村が行うこととします。
・拠点等の5つの機能
①相談 ②緊急時の受け入れ・対応 ③体験の機会・場
④専門的人材の確保・養成 ⑤地域の体制づくり
Q.拠点等の運営はどのような点に留意する必要がありますか?
・主に4つの点に留意する必要があります。
①拠点等において支援を担う者(以下「支援者」という。)の協力体制の確保・連携
地域の課題に対する共有認識を持ち、目的を共有化し、協力及び連携していく
必要があります。
また、関係機関等との役割分担及び連携の強化を図るために、拠点等の運営に
当たっては、協議会等における連携を基礎とし、市町村の障害福祉施策との
一体性を保ちながら、地域で生活する障害者等やその家族が、緊急時に等しく利用
できる公正、公平、中立な運営を行い、市町村と拠点等がそれぞれの役割を理解
しながら、一体的な運営を行うことができるよう体制を構築していくことが必要
です。
②拠点等における課題等の活用について
拠点等においては、個別事例の積み重ねから、地域に共通する課題を捉え、地域
づくりのために活用することが重要です。そのため例えば、支援者レベルの検討会を
開催し、蓄積、積された事例を集約し、市町村が設置する協議会の部会等の場に
報告することが必要です。
③拠点等に必要な機能の実施状況の把握
市町村は、拠点等に必要な機能が適切に実施されているかどうか、定期的に又は
必要な時に、例えば市町村が設置する協議会の部会等の場を活用して、拠点等の
運営に必要な機能の実施状況を把握しなければなりません。
④各制度との連携
拠点等は、障害者等の地域での生活を支援することを目的としているため、地域に
おける障害福祉以外のサービス等との連携体制の構築が重要です。
Q.市町村は整備に向けてどう取り組めばいいですか?
・拠点等は平成29年度末までに各市町等に少なくとも一つ整備することとしております
が、必ずしも整備に向けて取組が進んでいない状況です。このため、第5期障害福祉
計画においても引き続き同様の整備目標を掲げており、拠点等の整備を行わなかった
市町村等においては、地域におけるニーズの把握や課題の整理を早期に行い、
積極的な整備を進める必要があります。
・なお、拠点等の整備がなされたか否かについては、市町村における「相談」、「緊急
時の受け入れ・対応」、「体験の機会・場」、「専門的人材の確保・養成」、「地域
の体制づくり」に必要な機能等を踏まえ、その実効性が担保されたかどうか等により
総合的に判断することとなります。その際は、拠点等の整備時期を明確にしておくこ
とが必要です。
Q.拠点等の整備、運営にあたって、考えられる財政支援は何ですか?
・拠点等の「面的整備型」を行うに当たって、例えば、協議会等での検討の結果、
新たに緊急時の受け入れを行う短期入所事業所を整備することとなった場合等につい
て、社会福祉施設等施設整備費の優先的な整備対象としてふさわしいものと考えられ
ます。
・さらに緊急一時的な宿泊や地域での一人暮らしに向けた体験的宿泊を提供するための
居室の確保や地域生活を支援するためのサービス提供体制の総合調整を図るコーディ
ネーターの配置に当たっては、「地域生活支援事業等の実施」の「地域移行のための
安心生活支援」の事業も活用することができます。当該事業については、障害者等が
地域で安心して暮らしていけるようにするための事業であることから、拠点等の整
備、運営に当たっても活用することができます。
★厚生労働省 地域生活支援事業実施要項の22ページに
「地域移行のための安心生活支援」についての説明があります。
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/chiiki.pdf
★厚生労働省 地域生活支援拠点等について
地域生活支援拠点等の整備については協議会等を十分に活用し、
地域の関係者のなかで整備方針を検討することが重要になるため、まずは地域の
実情を知り、共有することが大切になります。