3月12日(日曜日)飯能総合福祉センターにておこなわれた
野沢 和弘さん(毎日新聞論説委員)『自閉症の子とともに生きて』の
講演会に参加してきました。
野沢氏には重度の知的障害をともなう自閉症のお子さまがいらっしゃる。
その親の立場としての思いも話されました。
親とは本当に弱く屈折した存在で、生まれてきたわが子に障害があると
わかった時にたいていの親は落ち込むもので、野沢氏もまっ暗な部屋で奥様が
布団にくるまってつぶやいたことを昨今のように覚えているそうです。
「サザエさんちのタラちゃんみたいだったらいいのに……」
親子で無人の惑星に取り残されたような孤立感、疎外感にさいなまれる。
そして他人の何気ない一言に傷ついたり、冷たい視線に無性に腹が立ったりし、
逆に子を預けた施設や学校には必要以上にへりくだり、
優しい言葉をかけられたりすると相手が神様に見えてしまうそうです。
野沢さんもお子さまのために医療機関やその他の機関を訪ね歩いたそうです。
水戸アカス事件や白河育成園事件が起きた20年前は障害のある子が生まれると
親だけが背負わされ、疲れ果て倒れた時に用意されているのは入所施設ぐらいだった。
雇用の場や入所施設でのひどい虐待が発覚しても、子を預けている親は無力だった。
「こんなかわいそうな子を預かってもらえるだけでありがたい」とある親は言った。
虐待の限りを尽くした雇用主が逮捕された時に助命嘆願の署名集めをしたのも被害に
あった障害者の親達だった。
野沢さんはある先生に言われたそうです「自閉症は治らない。でも人として楽しい
生活は出来る」
特に私たち福祉に携わるものは、どんなに重い障害がある方でも人として尊重し
その人それぞれが楽しい人生が過ごせるようお手伝いする。それが役割だと
改めて思い知らされました。もちろん自分の人生も楽しく過ごす。
そして生産する事が社会貢献だという優劣の考えを取り除き、
静かに存在する人の価値も感じなければならないと思います。
上山