盲導犬を連れた男性が東京メトロ銀座線の青山一丁目駅のホームから転落死した
事故から1年。ホームドアの設置など鉄道事業者が対策に向けた議論を進める中、
視覚障害者の側からも情報発信のきっかけをつくりたいと、
全日本盲導犬使用者の会が「ありがとう!」と書かれたシールを作り、
手助けを受けた際に配る活動を始めたそうです。
当事者が積極的にコミュニケーションをとることで障害の理解と支援の広がりを
期待する。
シールは、6センチ角の正方形と円形の2種類。表に盲導犬のイラストと
「ありがとう!」と「Thank you!」の文字があり、裏側には盲導犬などが
身体障害者の社会参加の大切なパートナーとして、「補助犬法」で認められている
ことを説明している。イラストは若草色と黄色を使い、苔玉(こけだま)を
イメージした優しい犬の絵だ。同会は、盲導犬の使用者が集まって交流したり
助け合ったりするために1994年に発足して全国に約300人の会員がいるが、
シールは会員に計約3000枚を配布し、広く配ってもらう。
東京都内で28日開かれた発表会で、同会の郡司ななえ会長は「ホームドアなど
ハードの対策だけでは解決しない。どんな状況でも『ありがとう』と伝えることで、
誰にでも優しい社会になってほしい」と、活動の趣旨を説明した。シールを手渡す
機会に、盲導犬との生活について、少しずつ伝えたいという。
同会には、盲導犬を連れていると「声をかけることをちゅうちょしてしまう」という
声が寄せられるという。しかし、犬を連れていてもきょろきょろしていたり、普通は
立ち止まらない場所で立ち止まったりしていたら、何か困っている可能性が高い。
電車の中で手すりなどにつかまっていない時も、声をかけて誘導すると安心できると
いう。同会の生長善治郎理事は「盲導犬のスーパードッグのようなイメージが、
(声をかけにくい)バリアーになってしまっているのかもしれない。この活動を通して
盲導犬使用者がバリアーの外に出るきっかけになるといい」と期待を込めた。